2016年6月29日水曜日

私にとっての「プロインタビュアー」とは?



今週の日曜日、私の新刊3000人にインタビューして気づいた! 相手も自分も気持ちよく話せる秘訣」Amazonにてランキング急上昇、在庫分が売りきれました。

予測できる原因は、ふたつ。

*日本経済新聞に広告が出た。
*それをツイートしたら、吉田豪さんがRT

RTの理由は、広告の中の私が、「プロインタビュアー」を名乗っていたから。
吉田豪さんのファンの方が、「知らないヤツがプロインタビュアーを名乗ってますね」的なことをご本人に報告したよう。

指摘されるまで気づきませんでした。
そこに「プロインタビュアー」と書いてあったことを。
出版社の方が限られた広告スペースを使って、1冊でも多く本を売るために考えて入れてくれた文言だと思う。そこは感謝のみ。

でも、私は「プロインタビュアー」は自称しないし、名乗るつもりはありません。

なぜなら、私にとっての「プロインタビュアー」とは吉田豪さんだから。

インタビューを読むのも好きな私は、当たり前に豪さんの記事が好きです。
サブカルチャーには詳しくない(……というか、カルチャーとサブカルチャーを分けて考えられない)私も、豪さんがインタビューした人には自然と興味を抱いてしまう。

いちインタビュアーとしても当然尊敬しています。
対象との距離感、取材姿勢、原稿直しに対する考えなど、かっこいいなと思う。
えぐいことや下世話なことに果敢に切り込みながらも、やっぱり対象への愛が勝る。
何より、どんなインタビューも面白いエンタテインメントに昇華させているのが最高だ。

私も私なりに、インタビュー原稿をエンタテインメントとして面白いものにしたいと常々思っているのだ。

インタビュアーも十人十色だし、良いインタビューの定義は、人それぞれだけど。
人間への興味から話が始まるところとか、内容にエンタテインメント性を求めるあたり、自分は吉田豪さんに近いのではないかと勝手に思っている。
あの強靭さやエネルギー量には遠く及ばないし、たぶん、性格も興味の対象も、そして、戦い方も全然違うだろうが。

豪さんの「プロインタビュアー」という肩書きの面白さやニュアンスも理解しているつもりだから、自分が名乗ろうなんて思わない。
それって、私のことだとは思えないもの。

一方、他にもプロインタビュアーを名乗る人がいても良いのではないかとも思う。
「プロインタビュアー」の定義も言葉の捉え方も十人十色。
最初に名乗った豪さんとファンの方々は、気持ち良くないだろうけれど。

とにかく、豪さんにRTしてもらったおかげで、私の本も何冊かは売れたにちがいないから、ありがたい。
あれ以来、Amazonの在庫が切れたままなのは残念だけど。
(今、見たら数冊あった。もっと入れて!)

このプロインタビュアー小騒動における、豪さん本人の対応は面白くて優しくて完璧だったが、一部のファンの方々の振る舞いには少し傷ついた。

「無名のニセモノ プロインタビュアー」と扱われ、揶揄された。
実際に無名だから私のことを知らないのは全然かまわないし、傷つかないけれど、大好きな仕事のキャリアを軽々しくニセモノ扱いされたことが悔しかったのだ。
軽口であり、冗談のつもりだろうけど、客観的に見ても面白いと思えなかった。 

でも、すぐに立ち直り、むしろ、元気になった。
私をきっぱりと擁護してくれる同業者や読者の方がいることを知ったことはとても大きい。

そして、自分の知らない世界の人や物事を、容易にニセモノだと決めつける人たちを目の当たりにして、私はインタビューという仕事を続けてきて良かったと改めて思ったのだ。

たくさんの人にインタビューするほど、世界は広く、自分の知らない場所にもすごい人や面白い人がたくさんいることがわかってワクワクする。
だから、自分が知らないからといって、容易に人や物事をバカにできなくなる。

私はこの仕事を通して「無知の知」を骨の髄まで自覚しているから幸せだ。

新刊が完成して、「プロモーションのためにインタビューを受けたり、誰かと対談しましょう」と担当編集者に言われた時、私は、真っ先に吉田豪さんの名前を挙げた。
10年以上前、20代だった頃に1度、短い時間、お会いしたことがあるが、インタビューではなく、リリー・フランキーさんと豪さんの対談の進行ライターだった。

今、吉田豪さんとインタビューについて語りあったりしてみたいし、いつか豪さんにインタビューしたり、自分もインタビューされてみたいなと好奇心いっぱいに思ったのだ。
たぶん、同じインタビューでもプロレスとテニスくらい異種競技のような気がするし、いつ、そんなスゴイ機会にあずかれるかわからないけれど。

久々のマジブログが、特に面白い内容でもないのに長文になってしまった。
できるだけ牧歌的に生きたい私が、珍しくたぎっちゃったね! 
それだけ、この仕事が好きで大切に思ってるんだなと自覚した。

読んでくださった方、ありがとう。


せっかく宣伝してもらったのだから、たくさんAmazonに在庫が入荷しますように!

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